戦国時代、日本にはいくつもの水軍が存在していた。なかでも最強といわれた村上水軍は、あの織田信長を撃退し、豊臣秀吉にも与することなく「自由と海」を愛していた。そんな海のサムライたちを束ねたのが、瀬戸内の海賊大将軍・村上武吉だった。
そして現代。武吉の血を引く少女・村上楓(柴田杏花)は、代々伝わる醤油屋を営む父・達也(内藤剛志)、母・春子(石田えり)とともに、瀬戸内海を臨む美しい島に暮らしていた。クラスメイトの学(伊澤柾樹)、冬樹(大前喬一)と一緒に夢中になっているのは、村上家に伝わる村上水軍の埋蔵金探し。少々無茶をしても突き進む楓は、担任の宇治原(小泉孝太郎)に諭されながらも、仲間たちとの冒険を心から楽しんでいた。
しかし同じ頃、島の大人たちの間では深刻な問題が持ち上がっていた。島民にとって生命線であった島と本土を結ぶフェリーが、老朽化を機に路線廃止されるというのだ。フェリーがなくなれば、島での生活ができなくなるかもしれない―。
島の暮らしと島の人々が大好きな楓は、なんとかしたいと考え始める。
「村上水軍の財宝を見つければ、フェリーを直せるかもしれない」。
そして迎えた12歳の誕生日、楓は蔵の奥から古びた一本の笛を発見する。その笛は、武吉が息子の12歳の船出に与えた「初陣の笛」。そしてその笛には、村上水軍の埋蔵金を示す手がかりが隠されていた。
その頃、フェリーを巡って言い争う大人たちの議論は、暗礁に乗り上げていた。楓は、不安な気持ちを学と冬樹にぶつけ、喧嘩してしまう。
肩を落とす楓に、祖母・絹子(中村玉緒)の声と、遠い遠い先祖である武吉の声が重なる。
「迷わず、進め―」
その言葉に後押しされ、楓は財宝を見つけることを固く心に決める。
読み解いた地図によると、村上水軍の財宝が眠る島へは、瀬戸内海の激しい潮流を越えて行かなければならない。楓は、水軍レースのエースである愛子(葵わかな)に教わり、学、冬樹とともに船の操縦を猛特訓する。
そしていよいよ決行の日。楓、学、愛子、冬樹は、力を合わせて舟を漕ぎ出す。しかし行く手を阻むのは、激しい潮流だけではなかった。宝を狙う島の不良たち、ご先祖さまが仕掛けた巧妙な仕掛けの数々が、楓たちを次々に襲う。楓たちは無事、財宝を見つけることをできるのか?そして島の危機を救うことはできるのか―?
大切なものを守るために突き進む。時を超えて蘇る歴史アドベンチャーが、今、出陣する!